feedback

フィードバック

自分の鼻毛が出てたら教えてもらいたい?

突然ですが、あなたに質問です。

Q.1 鼻毛が出ていたら、教えてもらいたい方ですか?

おそらく、研修などで数千人にはお伺いしてきたはずの質問です。
感覚値で85%くらいの方がイエスと答えます。
(もちろん、相手によるなあ、、、という答えの方が大半ですから、あえて言うならどっち派ですか?とお尋ねします。)

もう一つ質問です。

Q.2 鼻毛が出ている人がいたら、知らせてあげる方ですか?

こちらも、感覚値ですが、イエスとのお答えは15%くらいでしょうか。


この事実にはいろんな意味合いが含まれていますが、
私が言いたい結論としては、
鼻毛が出ていたら積極的に指摘してもらえる人になろう!
ということです。

フィードバックとは
この、『鼻毛が出ている』という情報(事実)の指摘、これは典型的な『フィードバック』です。

『フィードバック』を、軌道修正を目的とした情報、と、私は定義しています。

世の中には、フィードバックが多くあります。

  • ・飲食店や、旅館・ホテルなどのアンケート
  • ・健康診断や人間ドック
  • ・模擬試験
  • ・痛みや痒みを脳に伝える神経システム
    etc.

試着するときに『ねえねえ、この服、似合う?』と聞いてきたり、
創った提案書に、周囲に意見をもらったりする活動、
これらは、フィードバックを取りに行く、という活動です。

フィードバックは何のためにもらうのでしょうか?
フィードバックがないと、私たちはどうなってしまうのでしょうか?

フィードバックの大きな価値

フィードバックは何のために必要なのでしょうか?

飲食店やホテルは売り上げをあげようとします。
自分たちでは顧客の立場になり切るのが限界があるため、直接的に顧客の満足不満足を聞こうとします。
その情報によって、サービス内容や価格を適切に軌道修正したいからです。

私たちは、健康でありたいと願っていますが、体の中で何が起こっているかを十分に把握できません。
ですので、特殊な検査器や専門家の力を借りて、体内で起こっていることを知ろうとします。
ガンは今時、早期発見できれば治るといわれていますが、検査が遅れて手遅れになることがあります。

模擬試験は、現在の自分の実力を測ることに使われます。
現在地が明確になれば、合格目標に向けて、効率的で効果的な学習計画が立てられます。
模擬試験と言えば、その結果に一喜一憂した記憶がありますが、評価ではなく、あくまでも現在地を把握するためのものです。

痛みや痒みを感じることができない、という特殊な病があります。
痛みを感じないと、例えばケガした足に気づかず、その足で歩いてしまい、よりそのケガが悪化したりします。
痛みや痒み、は、それ自体辛いかもしれませんが、その感覚があることにより、即座に適切な処置ができます。

このように、私たちが、
自分自身で発見することが困難なことについて、情報として知ることにより、
適切な軌道修正が図れるのです。

鼻毛が出ている、ことについて、自分ではなかなか気づくことができません。
それを指摘してもらうことによって、ようやく適切な処置ができます。
指摘がなければ、少なくともしばらく、出っぱなしで、恥ずかしい状況を継続してしまうことになるでしょう。

※フィードバックのポイントは、あくまでも情報だということです。
鼻毛を、抜け、切れ、吸い込め、収納しろ、などという具体的な行動の指摘ではありません。

リーダーにとってのフィードバック

リーダーには、特に強く、フィードバックをもらうことを推奨しています。

リーダーシップやコミュニケーション、という分野においては、
勉強してわかってはいるのだけど、なかなかうまくいかない、のはなぜでしょうか?

大きく二つの理由があると考えます。

  1. ①人は十人十色で、受け取り方が個々に違い、正解がない
  2. ②自分が『伝えているつもり』の事と、相手が『実際に受け取ったこと』に ギャップが起こりがちだからです。

つまり、直接相手に聞いてみないと、自分のリーダーシップやコミュニケーションが望ましく発揮されているかわかりようがない、ということです。

フィードバックがもらえなくなり、自分の周囲に対する影響力を測り間違い、恥をかいてしまう状態、
これを、裸の王様、と言って揶揄します。

リーダーのあなたが、部下に対する関りを最適化したいなら、
部下から直接フィードバックをもらってみるのが良いでしょう。
いや、絶対にそうすべきなのです。

フィードバックをもらわずに、リーダーシップ本で知識を得てやみくもにやってみることは、
医者が何の検査や診断もせずに、いきなり治療に入るようなものです。

定期的な1on1などは、フィードバックをもらう絶好のタイミングです。

フィードバックが怖いあなたへ

フィードバックをもらうのが怖い人がいるかもしれません。
怖い、だけでなく、拒否反応やムカつき、戸惑いや受け取れない、などもあるでしょう。

まずは持っておくとよいスタンスがあります。それは
『そのフィードバックを受け取るか否かは自分で決めていい』
ということです。

聞いたことはすべて受け止めて、言うことを聞かなければならない、
などと思っていては、フィードバックが恐ろしくて仕方ありません。

まずは、『参考』となる情報を集めたい、という程度から始めましょう。
単純に、他人には見えているけど、自分には見えていないことを教えてもらおう、という感じです。

フィードバックというと辛いことを言われる、というイメージを持っている方におすすめなのは、
自分の『強み』や『持ち味』について、周りからフィードバックをもらってみましょう。
あなたの良さは、実は周囲の方がよく見えていることが多いからです。

鼻毛が出ていても、言ってもらいたくない、という人も中にはいます。
気持ちはよくわかります。
それによって余計に恥ずかしくなったり、なんだか傷つく感じがします。

フィードバックをもらいたい、と思うのは、
問題があること、よりも、問題があることを知らない、ことを恐れるからです。

あなたは、ガンの告知を受けたいですか?、ガンでも知らせないでほしいですか?

フィードバックのもらい方

フィードバックのもらい方のスタンスとして重要なのは、
  • ①正直に言ってもらえること
  • ②できるだけタイムリーに言ってもらえること
です。

例えば、この二つがないがしろにされた健康診断があるとするなら、
①検査の精度が低く、しかも②手遅れであった、ということになります。

フィードバックをもらえるということは、高精度のセンサーを備えることになります。

ポイントは主に4つあります。
  • ①自分からもらいに行く鼻毛を指摘してくれる人が15%しかいないように、向こうから言ってもらえることは少ないです。
    自分からもらいに行くことで受け止める精神的土台も整います。
  • ②目的を話して、正直に話す抵抗をできるだけ下げる何のために欲しいフィードバックなのか、
    フィードバックをもらうことが、相手への悪影響にならないことを伝えます。
  • ③フィードバックが取り込みにくい場合は、質問などで分かりやすくする例えば、『なんとなく漠然としている』というようなフィードバックは軌道修正しにくいので、
    『特にどういうところから感じましたか?』などで、具体的な行動を特定しようとします。
  • ④言ってよかった、という実感を相手に持ってもらう一番わかりやすいのは、『伝えてくれてありがとう』と感謝を伝えることです。
    相手の指摘で納得した時は、即座に軌道修正することでもよいでしょう。
■フィードバックのもらい方のタブー
  • ・うるさいと却下する
  • ・やたらと凹んだりする
  • ・相手の主観に、そんなことないと反論する
これらのことをしてしまうと、相手はもう正直にフィードバックをくれることはなくなるでしょう。

より積極的にフィードバックをもらうために
普段からフィードバックが入りやすい環境を作ることを、
私は、『フィードバック網を作る』と呼んでいます。
その時のポイントがいくつかあります。

  • ①普段からフィードバックが欲しいことを公言しておく気づいたことがあったら、いつでもフィードバックしてください、と周囲に伝えます。
  • ②明確なビジョンや目標を持つ本気でビジョンや目標を持つと、現在地が知りたくなります。
    逆に、目標などがないことについては、特にフィードバックは必要ありません。
    以前、鼻毛は積極的に伸ばしておく人にお会いしたことがありますが、彼にとってはフィードバックは余計なお世話なのです。
  • ③自分の方からも積極的にフィードバックをしておくお互いにフィードバックし合える関係は、組織内でも最も望ましい関係と言えます。

フィードバックの本質

フィードバックをもらう、ということは、対話力を高めるトレーニングに繋がります。

フィードバックをもらうプロセスで、
  • ・明確な目的意識を持つ
  • ・相手の言葉に耳を傾ける姿勢を持つ
  • ・何を言われても自分にとって価値ある解釈ができる
  • ・お互いに本音で話せるきっかけとなる
  • ・自分のマイナスを恐れるのではなく、目標志向で成長が加速する
  • ・相手が言っていることを、意図や背景を含めて理解しようとする
  • ・上下関係ではなくて、対等に話そうとする
    etc.
のような、対話をする上で必要なスタンスが身に付きます。

対話が活発な組織は、目標に向けてチームのパフォーマンスが高まる可能性が高く、
私たちが推奨する理想的な組織風土の醸成に繋がります。