人事制度の中には、本来の目的を誤って運用されているものがたくさんあります。
そのままだと、単純に社員に手間をかけさせるだけで、もったいないというほかありません。
運用を変えるだけで、場合によっては組織風土改革ができてしまう場合もあるのです。
ここでは、運用を間違いがちな二大制度について、本来的な目的を探っていきます。
この制度は、元々ドラッカーが言い出したもので、本来の目的は、
『部下のセルフマネジメントを上司が促す』仕組のことです。
つまり、制度運用の主体は、部下側にあるはずなのです。
しかし残念ながら、名前のせいなのか、『上司が部下の目標を管理する』制度となってしまっています。
制度運用の主体が、上司側にあります。
さらに言うならば、『部下に目標達成させること』が目的ではありません。
目標管理制度=MBOは、Management 『by』 Objectivesです。
すなわち、目標の管理ではなく、目標によるマネジメントなのです。
つまり、目標によるマネジメントによって、『部下のパフォーマンスを最大化すること』が目的となります。
纏めると、目標管理制度とは、
目標による管理によって、部下の主体的な成長を促し、パフォーマンスを最大化させる、
ということが目的です。
コロナをきっかけに、評価制度の運用の重要性が飛躍的に増していくはずです。
評価制度の目的は何でしょう?
評価する、ということではありません。
評価制度の目的は、『会社として、社員にとってほしい行動や成果に対する、社員の主体性を高めること』です。
ですので、運用の際の大事なポイントは
①先に評価項目について社員に告知し、目指す方向性として示しておくこと
②定期的に確実に評価される=差がつくことにより主体性に火をつける
ということになります。
評価を目標の達成度で決める、というのも、あまりにも大きな間違いです。
今後、評価制度の甘い組織は、優秀な人から抜けていってしまうことになるでしょう。
今回ご紹介した、二つの制度は、正しく運用すれば社員の主体性を飛躍的に高めることができます。
人事にとって、運用がうまくいっていない制度は思い切ってやめてしまうことは、英断と言ってよいでしょう。